TNF-alpha刺激に対するCD146陽性および陰性歯根膜細胞の反応の比較

Comparison of the properties of human CD146+ and CD146- periodontal ligament cells in response to stimulation with tumour necrosis factor alpha

Arch Oral Biol. 2013 Dec;58(12):1791-803.

Zhu et al., Sun Yat-sen University, China

 

TNF-alpha刺激に対するCD146陽性および陰性歯根膜細胞の反応の比較

 

 

歯根膜幹細胞から得られたSTRO-1/CD146陽性細胞はコロニー形成能が高く、分化能も高いことが報告されている(Xu J et. al., 2009)。また、TNF-alphaは歯周炎局所で高濃度に検出される炎症性サイトカインの一つであり、細胞の増殖、遊走、アポトーシス、分化など様々な機能を制御すると考えられている。本研究はFACS Sortingによって得られたCD146+/- PDLSCの増殖・遊走・骨芽細胞分化能に対するTNF-alphaの影響をin vitroで検討した。 CD146+PDLSCは陰性細胞に比べて骨芽細胞分化能、コロニー形成能、増殖速度が高かった。また、陽性細胞はTNF刺激によって細胞増殖、アポトーシスが亢進し、骨芽細胞分化が亢進した(5ng/mlがピーク、10ng/mlでは減少)。Wound healing およびTranswell assay ではCD146+/-間でTNFに対する反応性に差はなかった。さらにTNFR1, TNFR2の発現がCD146+で高かった。CD146+細胞はTNFへの反応性が高く、TNFCD146+細胞の分化能の増強、増殖能、アポトーシスのの亢進を制御していた。

この論文は、前半はCD146+/-その物の比較を行い、後半は両者のTNFへの反応性の違いを観察している。ヘテロであると考えられる培養幹細胞の中で、少数の能力の高いものと多数の能力の低いものがある事は何を意味するのか。ソートによって選別された能力の高い細胞を培養すると能力の高い細胞集団100%にならないのは何故か。歯周病を考える時にTNF-alphaCD146陽性細胞PDLSCへの反応性は意味があるか。