ヘルトビッヒの上皮鞘細胞は歯小嚢細胞による歯周組織形成に必要なのか?

Are Hertwig’s epithelial root sheath cells necessary for periodontal formation by dental follicle cells?

Archives of Oral Biology 94 (2018) 1–9

Guo et al., State Key Laboratory of Oral Diseases, Chengdu, China

 

目的:歯周組織形成におけるヘルトビッヒの上皮鞘(HERS)細胞の役割については意見が分かれているところである。本研究はHERS細胞が歯周組織形成に関与するのか、そして歯周組織再生において歯小嚢細胞(DFCs)の分化にHERSが必要であるかを検討した。研究方法:HERSとDFScは生後7日のSDラットから単離し同定した。In vitroにおけるHERSとDFScを直接共培養およびそれぞれを単培養し、アリザリンレッド染色と定量PCR法で検討した。In vivoの検討の為に非活性化象牙質マトリクス(iTDM)を作成した。HERSとDFCsをiTDM上に単独あるいは混合して播種し、ラットの大網に移植した。走査型電子顕微鏡およびさらなる組織学的検討を行った。結果:In vitroではHERS単独およびHERS+DFCsの培養系において石灰化様結節がアリザリンレッド染色、あるいは走査型電子顕微鏡において観察された。石灰化や線維形成に関与するBSP, I型・III型コラーゲンmRNA発現が、HERS+DFCsにおいてHERS,DFCs単独群に比べて有意に高かった。In vivoでの移植後、セメント質と歯根膜様組織の形成がHERS+DFCs、およびHERS単独群で見られ、一方DFCs単独では硬組織形成や結合した線維の形成は観察されなかった。結論:ヘルトビッヒの上皮鞘細胞は歯周組織形成に直接関与し、歯小嚢細胞が分化し歯周組織構造を形成するのに必須である。HERS細胞とDFCsを組み合わせて使用することは歯周組織再生のための有望な方法である。

 

HERSとDFCsによる歯周組織再生への関与みた研究。ラットのHERSとDFCsを培養・共培養して4アリザリンレッド染色をしているが、示されている結節が細胞塊のように見える。この系にはグリセロリン酸は入っていないのではないか。BSP遺伝子発現はきれいに上がっているのだが、これはHERSで上がっているのか、DFCsでなのかに興味がある。移植の実験では組織形成の時間が4週間となっているが短くないだろうか。切片ではHERS+DFCsで象牙質表面に何かできているように見えるが、セメント質のようには見えない。組織に穴が開いてしまって肝心の界面が良く分からない。BSPの免疫染色像がセメント質様に見える。セメント質を形成する時に何が必要なのか。これほど意見が分かれているのはなぜだろうか。