歯根膜間葉系細胞の局所投与は軟組織再生を促進する

Local application of periodontal ligament stromal cells promotes soft tissue regeneration

Oral Diseases (2013) doi:10.1111/odi.12175

Baik et al., Yonsei University, South Korea

 

歯根膜間葉系細胞の局所投与は軟組織再生を促進する

 

 

間葉系幹細胞の投与が皮膚の創傷治癒を促進する報告がなされている。歯根膜からoutgrowthさせ培養したPDL細胞は線維を多く産生し、間葉系幹細胞様の性質を持つことが示されている。PDLをラット背部皮膚欠損へ移植し術後の治癒を比較した。直径8mmの皮膚欠損に2*10(6)PDLPBSに懸濁し26G注射針で欠損周囲に移植した。術後3日目よりPDL移植群はPBS群と比較して有意な皮膚欠損の縮小を示した。DsRedでラベルした細胞は欠損部の修復組織中には認められず、移植した周囲の毛包に存在しKi67陽性であった。PDLの培養上清は皮膚線維芽細胞の増殖、遊走を増強し、上皮細胞の遊走を増加させ、TGF-betaを含んでいた。

移植した細胞が、修復組織に存在しないこと、毛包に存在したことは興味深い。毛包に定着した細胞がどのようにして遠く離れた修復組織の治癒に関与しているのか。なぜ、毛包に定着したのか。できたのか。定着してしまったのか。定着できなかった細胞は消えたのか。手当たり次第に存在できないことは何を示すのか。術後3日目から差が出てくるのはどうしてか。その時には移植細胞はどこにいるのか。移植細胞は移植された先でずいぶんと静かにしているようだ。