同種異系由来の歯根膜幹細胞を用いた羊モデルにおける歯周組織再生

Regeneration of periodontal tissues using allogeneic periodontal ligament stem cells in an ovine model.

Regen Med. 2013 Nov;8(6):711-23. doi: 10.2217/rme.13.66.

Mrozik et al., University of Adelaide, Australia

 

同種異系由来の歯根膜幹細胞を用いた羊モデルにおける歯周組織再生

 

 

歯根膜幹細胞を用いた歯周組織再生の可能性が多く報告されているが、臨床的には歯根膜幹細胞を採取することが困難である事が一つのハードルと考えられる。同種他家由来の歯根膜幹細胞を移植する事ができれば歯根膜幹細胞移植による再生治療の適応範囲が広がる。筆者らは裂開型の欠損を羊に外科的に作成し、10(7)個のPDLSCをGelfoamを担体として移植した。4週後にPDLSC+Gelfoam群はGelfoamのみの群に比較して有意な歯槽骨の形成を示した。PDLSC+Gelfoam群、Gelfoam群は欠損のみの群に比べて新生セメント質を形成した。PDLSC+Gelfoam群ではシャーピー線維による付着量が多く、シャーピー線維の配列が整っていた。

AlloのPDLSCを移植したという事で、最も気になる所は免疫拒絶に類似する反応が起きなかったかという事と、Autoと同等に再生したかという事であろう。前者は、どうやら著しい反応は起きなかったという事らしい。後者についてはAutoとの比較が無いので何とも言えないが、遜色ないという事だろうか。AlloのPDLSCを移植する検討はいくつかの報告があるが(Fu et al., 2013. Ding et al., 2010)、いずれも問題ないとのことだ。本研究の10の7乗個という数も気になる所だ。他科のPDLSCを移植するにはどんな越えなくてはいけないハードルがあるだろうか?(抄録のみ)