臍帯由来間葉系幹細胞を歯の自家移植後の治癒に使用するための基礎研究

A fundamental study applying umbilical cord mesenchymal stem cells to the periodontium healing after tooth autotransplantation. 

Br J Oral Maxillofac Surg. 2014 Apr 30. [Epub ahead of print]

Li Y et al., The Forth Military Medical University, China

 

臍帯由来間葉系幹細胞を歯の自家移植後の治癒に使用するための基礎研究

 

歯の自家移植は臨床において頻繁に行われその成功率も高い。歯牙移植の成功を左右する大きな因子の一つが歯根膜の存在である。歯根膜の治癒には歯根膜幹細胞(PDLSC)が大きく関与すると考えられるが、PDLSCは数が限られており分離培養するには歯を抜歯するなどの処置が必要である。臍帯由来間葉系幹細胞(UCMSC)は臍帯の間質であるWharton’s jerryから採取される間葉系幹細胞(MSC)で通常は廃棄される。本研究はUCMSCの骨分化能力を調べ、象牙質片と共にマウスに移植する事で歯周組織が再生するか否かを検討した。UCMSCはコラゲナーゼ(2mg/ml)16時間と,2.5Trypsin 30分の酵素処理し培養した。UCMSCFACSMSCマーカーを発現し、in vitroの分化誘導によりAlizarin Red 染色陽性, osteopontin, bone sialoproteinの発現が上昇した。7日間骨分化誘導した10^6UCMSCporcine fibrin sealant gum (フィブリン糊?)に混ぜ、象牙質片を包み培養。免疫不全マウスの皮下に移植し8週後に観察すると、象牙質表面にセメント質様の硬組織が形成されていた。

 

UCMSCを歯科で使うという意欲的な論文。PDLSCはセメント質を作れる事が大きな特徴であるが、本論文ではUCMSCでもそれが可能である事が示されている。となるとセメント質を作るのはMSCならOKなのか。7日間の骨芽細胞分化を施した細胞を使っているが、UCMSCはセメント芽細胞に分化しないはずではないか。となるとセメント質は骨芽細胞が作っているのか。そもそもこの論文でできたのは骨ではないのか。興味のある点である。なお、示されているArizalin Red 染色像がひどい。