歯根膜および歯肉組織由来幹細胞の腱組織再生への応用

Application of stem cells derived from the periodontal ligament or gingival tissue sources for tendon tissue regeneration.

Biomaterials. 2014 Jan 4. [Epub ahead of print]

Moshaverinia A et al., University of University of Southern California, USA

 

歯根膜および歯肉組織由来幹細胞の腱組織再生への応用

 

腱組織の損傷後、線維化などによって適切な治癒が起こらないと運動障害などにつながる。MSCの移植が腱の再生を起こす報告がなされているが、適切な幹細胞の源は未だ見つかっていない。本研究は歯根膜および歯肉から得られるMSCが腱再生に役立つか否かを検討する事を目的とした。移植用担体として、筆者らが軟骨の細胞治療において過去に報告したRGD配列を付与したアルジネート(RGD-Alg)を用いた。骨髄由来(BM-),歯根膜由来(PDL-),歯肉由来(G-)MSCはいずれもRGD-Alg中で高い生存率を示し、免疫染色ではCD146, CD105陽性,CD34陰性を示した。RGD-AlgTGF-beta3を含有させたところ1週間の間、徐放した。In vitroにおいて各幹細胞を腱へ分化させたところ、マーカーであるTenomodulin, Eya1,Eya2, Scleraxisの発現が上昇したが、PDLSCでの発現が最も高かった。免疫不全マウスの背部に4*10^6の細胞を入れたRGD-Algを移植すると8週後に腱様組織の構造が認められた。再生腱様組織構造の量はPDLSC>BMMSC=GMSCの順であった。

 

PDLSCを用いた腱再生の論文。PDLSCが腱様の分化を起こす事は想像できるが、実際に研究した論文としては初。In vitroの分化系は非常に骨分化条件と似ている。TGF-beta3が入っている程度か?しかしこれでは軟骨に分化しないのか?RGD配列が腱分化を促進しており細胞接着効率以上の作用もあるようだ。異所性の腱再生の部分は慎重にみる必要があると思われる。腱マーカーの免疫染色で確認しているが、それが無いと形態的には何が腱かよくわからない。分化の弱いGMSCでも異所性に腱ができるのは。Alg8週でも吸収しないのか。PDLSCが腱の再生に使えるかもしれないという解りやすい結論に落ち着くだけに注意が必要。靱帯(骨―骨)と腱(骨―筋肉)は異なることにも注意。