全身性に輸送された骨髄由来間葉系幹細胞の歯周組織再生における役割

The role of systemically delivered bone marrow-derived mesenchymal stem cells in the regeneration of periodontal tissues.

Int J Oral Maxillofac Implants. 2013 Nov-Dec;28(6):e503-11.

Yu et al., Beijing Institute of Trans fusion Medicine, China

 

全身性に輸送された骨髄由来間葉系幹細胞の歯周組織再生における役割

 

歯周組織の再生に歯根膜幹細胞(PDLSC)が重要であることが報告されている。しかしPDLSCの局在はよくわかっていない。PDLSCは間葉系幹細胞としての性質を備えているが、骨髄由来間葉系幹細胞 (BM-MSC)は最も古くから研究され、BM-MSCが末梢へ輸送される報告もある。本研究の目的は骨髄由来のMSCが炎症性の歯周組織欠損の治癒に関与するかどうかを検討することである。SDラットから採取し培養したBMMSCをレンチウィルスを用いてEGFPでラベルした。2*10^8EGFP-BMMSCを放射線照射したラットの脛骨の関節面より骨髄空内へinjectし、同時に赤血球を除いた全骨髄を尾静脈から静注した。4週後、歯周組織欠損を下顎頬側根の歯槽骨・歯根膜・セメント質・象牙質を削除して作製し、スポンジにP.gignivalisを入れ縫合した。5日後にスポンジを除去し、観察期間終了後トサツした。歯周組織欠損は1週目では結合組織で満たされ、2週目には島状の骨形成がみられ、4週後には欠損が完全に骨で覆われ、新生セメント質、歯根膜がみられた。この治癒はP.g.を入れた群で有意であり、スポンジ群では歯根膜線維が根面に平行に配列する非機能的な形態を示した。EGFP+細胞は、術後1週間から欠損内に見られ、2週目では島状に見える骨面を含む欠損内に、4週では歯槽骨・歯根膜・セメント質を含む新生組織に存在した。EGFP+細胞数は、術後2週目が最も多く4週目が最も少なく、また、P.g.群ではスポンジ群に比べて数が増加していた。OPNEGFPの免疫染色では骨髄由来EGFP陽性細胞がOPN陽性である像が観察された。

 

MSCだけをEGFでラベルした骨髄置換を行った研究。置換が正しく行われたのかどうかの情報が無いため、骨髄中のMSCが本当に全てEGFP陽性になったのかどうか不明。脱灰によってGFPが蛍光を失う事はよく知られているがここでは蛍光で見ているのは大丈夫か。組織像は陽性細胞の局在が良くわからず残念。骨髄からのMSCの動員がなぜ4週目で減少するのか。局所に定着するのであれば、時間経過と共に増加するはずだ。血管周囲にEGFP+がいる事よりPDLSCの源がBMかもしれないと言っているが本当だろうか。歯周組織が壊された時に修復する細胞はどこからくるのか。個人的には血管周囲の組織幹細胞だと思っている。